どうも、
そむくくです。
今回は長文になります。
4月28日 ローザンヌ国際バレエコンクールで入賞した日本人女性二人を追いかけたドキュメンタリーがNHK BS1で放送されました。
若い二人がダンサーとしての未来を掴むまでのドキュメンタリーで、その内容がなかなか良かったのでご紹介します。
この記事は放送の内容を文字起こしした様なものなので、放送を観た方、再放送を見たいと思っている方は、ここで離脱してもらって構いません。
5月6日 午後10時からBS1で再放送されます。
見逃した方、再放送オススメです。
写真の出来が酷くて申し訳ありません。
写真の色、ホワイトバランスが滅茶苦茶です。(バックは白色で綺麗なはずなんですが…)
壊れかけの液晶TVを写しているので、画質そのものも良くないのはご勘弁願います。
雰囲気だけ感じてください。
早くTV買わなきゃ…
ローザンヌ国際バレエコンクールについて
毎年2月にスイスのローザンヌで行われる国際バレエコンクールです。
詳しくはウィキペディアなどでご覧になってください。
かつて英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとしてご活躍されてた熊川哲也さんと吉田都さん、現在英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとしてご活躍されている平野亮一さんと高田茜さんも受賞されています。
吉田都さんは今回の審査員の1人です。
審査委員長は、英国ロイヤル・バレエ団で黒人系として初めてプリンシパルになったカルロス・アコスタさん。
プリンシパルというのは、大雑把に言うと主役を踊れる人、バレエ団のトップの階級のことです。
今年は、世界40カ国363人の応募があり、ビデオ審査を経て74人が出場しました。
日本人は89人が応募、12人が出場しました。
コンクールは1週間に渡って行われます。
このコンクールが通常のコンクールと違うのは、初日から5日目まで一流のコーチからレッスンを受けることが出来ることです。
但し、このレッスンは単なるレッスンではなく、レッスン中での成長ぶりも審査の対象となっています。
スケジュールは、
初日〜5日目:レッスン
6日目:準決選
7日目:決選
となっています。
初日〜3日目
集団でのレッスンになります。
審査対象は、コーチの指示をどれだけ柔軟に受け止め自分の表現にしていけるか、という点。
コーチの指導に対する適応力を見られます。
将来バレエ団に入った時に振付師の指導を理解する力があればダンサーとして成長していけることがその理由です。
コンテンポラリ・クラス(現代舞踊)では、不規則なリズム合わせた手拍子と足踏みが要求されていました。
4日目、5日目
個人ごとの指導になります。
出場者が練習してきた振り付けをコーチが見て、何を直すべきか判断して指導します。
準決選の舞台で輝きを増すためのアドバイスという位置づけです。
他の出場者は自分の指導まで待機しながら他の出場者の指導風景を見ることになります。
6日目
準決選
20位までが決選に進めます。
この準決選こそ最も価値があると言われています。
それは、20位までに入ると世界の有名バレエ団に入団できる可能性が非常に高くなるからです。
7日目
決選
今回取材されたお二人
佐々木 須弥奈(ササキ スミナ)さん
住山 美桜(スミヤマ ミオ)さん
お二人とも18歳で、現在はチューリヒ・ダンス・アカデミーに留学しています。
佐々木 須弥奈さん
住山 美桜さん
この学校から今回のコンクールに参加するのはこの二人だけ。
最終学年を迎える生徒の中で二人が一番力があると学校が評価したとの事。
佐々木さん
祖母と両親が共にバレエダンサー。
4歳でバレエを始める。
15歳で今の学校のワークショップに参加、留学決意。
コンクールへの意気込み
これが自分の踊りだっていう、出てきただけで客席の方たちをハッと、背筋がピンとするではないけれど、そういうふうに見ても貰えたらと思っています。
こりゃ、大物感ありますな。
住山さん
2歳からバレエを始める。
14歳で初めて国際コンクールに参加、世界を目指すと心に決める。
小さい頃から踊ること、何かになりきること、演じることが好き。
場所があればひとりで踊っていた。ただただ踊るのが好き。
コンクールの2日前、学校での最後の練習風景が映されていました。
そこには、教師から指導を受けた住山さんがレッスン場から出て、
教師と会話している声だけが聞こえていました。
住山さんが「うまく直せなくてダメ」と声をこぼすと、
教師が繰り返し繰り返し住山さんの名前を言いながら、
「そんなことない。悲しまないで前進あるのみ。それがあなたの人生よ」
と住山さんに自信を持たせようとする教師の声。
コンクールの会場で「ワクワク、すごい楽しみ」と話していた住山さんとは思えない弱気な声がそこにありました。
コンクール目前でナーバスになっていたのかもしれません。
初日(レッスン)
クラシック・クラス
特に問題なく順調にこなしている様子。
コンテンポラリ・クラス(現代舞踊)
不規則なリズム合わせた手拍子と足踏みの要求に、佐々木さん、なかなか合わずに大変そう。
間違っても落ち込む様子もなく、寧ろ楽しんでいるようにも見えて、若いのにしっかりした方だなあという印象。
他の出場者のことは全く気にせず、気後れすること無く堂々としているようにも見えました。
2日目(レッスン)
コンテンポラリ・クラス
佐々木さん、夜遅くまでのイメージトレーニングが功を奏したのか、ミス無く適応。
佐々木さん、住山さん、二人とも楽しそう。
ダンスが好きってのがよく伝わってきます。
さらに複雑なリズムにも戸惑うこと無く大胆な動きで反応出来るようになっていました。
成長している証。
この二人、なかなかやりますぞ。
3日目(レッスン)
コンテンポラリ・クラス
与えられた課題は、音楽をその場で聞き、即興で踊ること。
柔軟な適応力と独自の表現力が試されます。
1グループ4人で踊ります。
コンテンポラリーダンスなので、4人それぞれ個性的なダンス。
音楽がゆっくりになったところに佐々木さんがいきなり走り出しで自己アピール。
佐々木さんが言うには、
他のグループの動きも見ながら、ゆっくりな音ならゆっくりな動き、速い音なら速い動きになるのを見て、
なぜこうなるのか、自分だったらこうするのに
と思っていたとのこと。
コンテンポラリーだから、自己表現は重要ですよね。
佐々木さんのダンスに取り組む姿勢が垣間見えました。
4日目、5日目(レッスン)
個人ごとの指導
住山さん、うまく直せなくてダメだと弱音を出した課題の振り付け。
コンクールに来る前に「他人と比べて自身を無くしてしまう」と住山さんが教師に相談すると、教師が住山さんにこう言います。
自分を信じないとダメ。みんな、それぞれ違う。
だから面白い。他人と比較してはダメ。
他の人のダンスを見て学ぶことは大切。
でもそれは自分の将来のため。だから自分を信じるの。
あなたにしか出来ない踊りがある。
そこがポイント。
それをローザンヌで見せるように。
それを聞いた住山さんに笑顔が戻ります。
この笑顔がいい笑顔だったなあ。
この娘は大丈夫、って思わせる笑顔です。
この教師の言葉、今の日本の教育現場に一番必要な姿勢なんじゃないでしょうかね。
こういう先生に育てられれば、そりゃ伸びますよ。
この二人はいい学校に入ったね。
自身のなさを克服し、バレエダンサーとしてどう成長できるか、それが住山さんに与えられたローザンヌでの宿題。
審査のダンスはひとりずつ。
住山さん、振り付けは ラ・バヤデール ガムザッティ
素人の私が見ると、
上手いなー、綺麗に踊れてるなー
って思うのですが、見るべき人(コーチ)が見ると
焦らない
床に反発する感じで体を伸ばす
回転後は空に向かって少し渦をまくように
自分を巨大な人だとイメージしてスペース全体を使う
と、アドバイスが飛びます。
で、アドバイスを受ける住山さんは表情が明るくなってるんですよ。
アドバイスを受けながらその場で踊ってコーチと確認し合う住山さん、楽しそうです。
この人はホントに踊ることが好きなんだあ。
観てるこちらが気分良くなってきます。
これはいい経験ですね。
引率の教師も、住山さんが、
見違えるほど良くなった
大きく変わった
テクニックだけではなく、役への理解が成熟した
とベタ褒め。
今度は佐々木さん
振り付けはエスメラルダ
18歳の自分が意味を深く理解して踊れているか不安があるそう。(男性を誘惑する踊りがある)
コーチが指摘した直すべきところは、足の運び方1箇所だけ。
非常に完成度が高かった様子。
この後、コンクールで注意された足の運びがどうなったのか、スローモーションで見せるNHKさん。
指導通りに克服して綺麗に踊ってました。
佐々木さん凄い!
適応力抜群です。
6日目(準決選)
先ずは住山さんから。
振り付けは ラ・バヤデール ガムザッティ
個人指導で沢山の注意を受けた振り付けです。
彼女のダンサーとしての運命が決まる勝負の時。
私は息を殺して観てました。
1分15秒
踊った時間は1分15秒でした。
2歳からバレエをやって留学までした彼女の運命が、たったの1分15秒で決まってしまうと思うと、
もう、泣けてきちゃって…
踊り終わって、笑顔で教師とハグする住山さん。
心から楽しんだとコメント。
私はウルウルしながら見てたんですけど(笑
やりきった感溢れる笑顔をしてた住山さん。
成長できた、大きなステップを超えた、踊るって最高だな、とのコメントが素敵でした。
続いて佐々木さん
振り付けはクローマ
2分15秒のコンテンポラリーダンス。
私はコンテンポラリーダンスは苦手なのでよく分からないけど、
なんだか凄い。
えらいモン観たって感じ。
線が細いから力強さはそれほど感じられないけど、全く危なげない圧倒的な安定感。
本人は「完璧には踊れなかった」とコメントしてましたけど、「完璧には」って言葉が出てきたってことは、かなり手応えがあったってことですよね。
踊り終わってもかなり落ち着いて見えましたし。
インタビューでは、
佐々木さん:観てるお客さんと一体になれる、観てる方がステージを観ているんじゃなくて、踊りの世界に入って貰えたらと思いました。
インタビュア:それは実現しましたか?
佐々木さん:してたら良いなと思います。してたのかな?
口調は自信ありありでしたね。
これくらいじゃないと、世界を相手には出来ないのでしょう。
審査員の吉田都さんによる準決選の採点ポイント
最終的にはパッション。
バレエに対する情熱がないと、どれだけ恵まれたプロポーションして、どれだけ踊れてもバレエ団の中で続かない。
すべて揃った上で、バレエに対する情熱を持っている人がベスト。
う〜ん、ハードル高い。
準決選が終わって
お二人とも20人に残りました。
バレエ団ダンサーとしての未来を掴んだ瞬間を映し出すカメラ。
教師の方の嬉しそうな顔。
佐々木さんは何をなすべきかを頭で考えて着実に前へ進むタイプ
住山さんは背中を押せばどんどん前に進んでいくタイプ
そんなふうに見受けられました。
決選に進む20人が発表されます。
名前を呼ばれたお二人が前に出るところ。
いいシーンですね。
佐々木さん(313番)
住山さん(316番)
7日目(決選)
お二人の決選のダンス
住山さん
振り付けは、ある白鳥の湖(コンテンポラリー課題演目)
佐々木さん(振り付けは、エスメラルダ)
佐々木さんのこのダンス、右手に持っているタンバリンを右足て打つんです。
このまま右足を床に着かずに計11回。
しかも11回目が一番高い位置で頭よりも上で叩く。
これ、凄いですから
是非、再放送で観てください。
決選終わって
お二人には海外の有名バレエ団から入団の誘いがきているようです。
この二人の将来が楽しみです。
将来、凱旋公演とかあったら素敵ですよねえ。
入賞したときのニュースがYouTubeに上がってました。
以上、とってもいい番組でしたので、ご紹介しました。
再放送は5月6日午後10時 BS1です。
見辛い写真で申し訳ありませんでした。
それでは、また。